2020年、人々は物理的な距離によって強烈に隔てられました。
今、私たちはどうやって人に会うことができるのでしょう?
私たちは一つの試みとして、あるセッションを設計しました。
本作品はオンラインプレイ可能な
PCアプリケーションです。
Trailer
Engineer : Tabi Morinaga
オンラインで2人がアプリケーションに接続すると、ボイスチャットが開始されます。その中で1人が自分のよく知っている街の座標を入力すると、2人はそれぞれその街のどこかに出現します。
そこからボイスチャットでお互いの見えているものを伝え合いながら、再開することを目指します。
予算の都合につき一般公開停止。プレイ希望の方はお問い合わせください。 お問い合わせ>>
NEW! - 2021/1/15-17 東京藝術大学メディア映像研究科年次成果発表展 MEDIA PRACTICE 出品
2020/10/17(Sat.)_20:00~ プレイ配信 *終了しました。
2020/10/18(Sun.)_20:00~ プレイ配信 *終了しました。
2020/10/2~ 東京藝術大学メディア映像研究科 OPEN STUDIO 出品
2020/9/4-6 東京藝術大学バーチャル藝祭にて途中経過報告(日本テレビスッキリにて紹介していただきました。)
2019年の夏、僕はユーラシア大陸横断の旅をした。
沢木耕太郎の深夜特急への憧れに駆動された、いわゆる貧乏旅行だった。ボロボロになりながらも行く先々で様々な人に助けられて、50年前に彼が歩いた旅路の幾らかをなぞって行った。
50年のうちに最も大きく変わったことといえば、やはりスマートフォンとインターネットだろう。
旅人は誰でもGoogleMapで目的地を検索してルートを探すようになり、自分の身体の在り処よりもGoogleMapの視点が先行するようになった。
また、出会った人々とSNSを交換するようになり、一期一会という言葉の意味合いも大きく変わった。
ある街を過ぎ去っても、そこで出会った人が今何をしているのか知ることができたし、その気になれば連絡を取ってもう一度会いに行くことも、いつだってそれほど難しいことではなかった。
そしてそういう時にはもちろん、待ち合わせにはGoogleMapを使う。ロンドンのパブで、ドイツの田舎駅で、トルコの海岸で、そうやって僕は旅で出会った人や昔からの友人たちと再会を果たした。
良い悪いに関わらず、この時代に旅をして人と出会うというのはそういうことだった。
しかしそんな旅から半年と少しが経って、全く誰も予想できなかったことに、世界は大きく状況を変えてしまった。僕らは確かにインターネットで繋がっていたけれども、もはや会いに行くことは叶わなくなってしまった。彼らとの間にある物理的な距離が、どうしようもなく決定的に僕らを隔てた。
その時僕は、今もう一度彼らに会いに行きたいと思った。
それがこのプロジェクトの発端である。
まずは試みとして、GoogleStreetViewとZOOMを用いて彼らの家まで会いに行くことをした。
彼らとは会話をしたのも旅以来だったけれど皆とても温かく僕を迎えてくれ、家まで着くとZOOMを通して家族を紹介してくれたり近況について話してくれたりした。それは本当に感動的なくらいで、人と出会い直すということの新しい可能性を感じさせるものだった。このオンラインアプリケーションはその発展として、それを体験可能な形にパッケージしたものである。
しかし果たして、僕たちは今一体どれだけ離れていて、どれだけ近づくことができたのだろうか。ここまでプロジェクトを進めながら、今もなお考え続けている。
-林 裕人